まず言えることは、選択肢を選ぶだけの簡単な問題は、出題されないということです。全体的にみると、算数・社会・理科を組み合わせた総合的な問題が多く、課題に対し「自分はどう思うか」といった考えを述べていく作文も多数出ています。また、ほとんどの問題は会話形式で進み、問題文自体が長いため、読み取る力が必要になってきます。
「社会問題」についての出題
公立中高一貫校の出題傾向のひとつとして、身のまわりの社会問題が取り上げられるというケースがあります。よく出題されるテーマは、「環境」「国際化」「福祉」「少子高齢化」などです。白鴎高校附属中学校では、次の2つの問題が出ました。これも「環境」や「国際化」に関連したものです。
エネルギー対策の会話をもとに「電気料金の値上げ」の効果と問題点を考える。
国際文化交流について書かれた2000字程度の文章を読み、
国際交流の課題と解決策についての意見などを書く。
このように、グラフや図表をまず把握し、次に社会問題に対して自分の意見を書くというパターンが多く見られます。社会問題を取り上げた問題は、身のまわりに起こっている出来事への興味を含め総合的な力をみることができるため、今後も頻出が予想されます。
算数との組み合わせ問題
算数分野の問題は、都立・区立の5校すべてで出題されており、全国でも多くの学校で出題されています。特に両国高校附属中学校の「適性検査Ⅰ」は、算数分野が大部分を占め、難易度の高い問題が並びました。それぞれの大問を一見すると「自家用車の所有台数」「読書」「部首などを組み合わせる漢字パズル」「宅急便の料金表」と、国語や社会などの教科を取り上げているように見えます。しかし、いずれも算数との組み合わせで、自家用車を持つ人の割合を計算したり、場合分けを考えるなど、算数分野での力が大きく問われました。
九段中等教育学校では、「発光ダイオードは電力消費が少ない」という話をもとに、発光ダイオードを使った信号機は、従来に比べてどれだけ電気代が節約できるかを計算する問題が出ました。また白鴎中学校は、縦横4マスの数字パズルを応用して、漢字の四字熟語を考える問題が、さらに桜修館では、大問2で「場合分け」について考える問題が出題されました。この分野も頻出しています。
行動計画を立てる問題
都立白鴎高校附属中学 適性検査IIでは、行動計画を立てる問題が出ました。「あなたは、小学校低学年の男女をそれぞれ3人ずつ,計6人のグループを,友だち2人で2時間いっしょに遊ばせることになりました。このグループの6人がいっしょに楽しめるように,友だちと協力してどのように遊ばせますか。あなたの遊びの体験にふれながら,遊ばせる場所や方法について,400字程度で書きなさい。」という趣旨の問題で、グループ活動の中で、自分たちで問題点をみつけ、集団をリードしていこうとする姿勢や意欲をみるものです。まさに、公立中高一貫校らしい問題と言えます。
聞き取り問題
また、最近増えているタイプの問題に、放送による聞き取り問題があります。両国中学校の「適性検査Ⅱ」でも、聞き取り問題が出題されました。聞き取り問題は、放送を聞きながらキーワードとなる部分のメモを取り、意見をまとめるものです。公立中高一貫校は、相手の話に耳を傾け、内容を把握する力を重視していて、今後、全国で増えていく可能性があります。